宮崎市中村東のきくち皮膚科泌尿器科クリニック|アトピー、陥入爪の矯正、前立腺肥大症、過活動膀胱、ED、AGAに対応

〒880-0904
宮崎県宮崎市中村東2-1-29

ネット予約

MENU

  • HOME
  • 皮膚病あれこれ1|宮崎市中村東のきくち皮膚科泌尿器科クリニック|アトピー、頻尿に対応
皮膚病あれこれ1|宮崎市中村東のきくち皮膚科泌尿器科クリニック|アトピー、頻尿に対応

ニキビ

尋常性ざ創、膿疱性ざ創(ニキビ)とは

ニキビはいろいろな原因で起こりますが、その病因として、①皮脂分泌の亢進、②毛孔の角化異常、③アクネ菌など増殖、④男性ホルモンなど(女性でも!)の変調が関係しています。特に夏は皮脂分泌の増加でニキビが悪化する時期となりますし、睡眠不足や日中逆転の生活なども、ホルモンのバランスが崩れ、悪化要因となり注意が必要です。



ニキビはある年齢になると自然に軽快が見込めるものですが、炎症の時期に放っておくと、瘢痕(固く盛り上がり)や陥没(凸凹)を残すことになります。ニキビ痕を残さないために状態に応じて治療する必要があります。



皮膚科でのニキビの治療法としては、

[全身内服療法]

  • 抗生剤の内服:炎症性の皮疹に、外用剤のみでは治療不十分な場合に、病状を診ながら短期間、主にテトラサイクリン系やマクロライド系を服用します。
  • ビタミン剤の内服:ビタミンB2、B6は皮脂分泌を抑制すると考えられます。ビタミンEは過酸化脂質の抑制が期待できますが、いずれも補助的なものです。
  • 漢方:清上防風湯や十味敗毒湯が用いられることが多いです。

[局所外用療法]
  • 過酸化ベンゾイル:酸化殺菌作用で、海外では標準的に用いられておりますが、日本では2015年からベピオゲルやデュアック配合ゲルが使用可能となりました。
  • 抗生剤外用:フルオロキノロン系やクリンダマイシン系の外用剤を炎症の部位に1日2回塗布します。
  • アダパレン外用:毛穴の詰まりを改善させる塗り薬です(妊娠している方や妊娠を予定している方は使えません)。そのピーリング作用から、最初の2週間はほとんどの方に乾燥、また刺激感の副作用がありますが、その後次第にやわらいできます。保湿剤を併用したりすることで副作用は軽減します。
  • イオウ製剤:角質剥離作用のため用いられていましたが、アダパレン登場であまり使用しなくなりました。

[理学療法]
  • 面皰圧出:切開して皮脂の出口を作り、専用器具でにきびの周りを押して、皮脂を押し出します。自分で潰すと炎症が周囲に波及しますので、かえって炎症が悪化してしまうこともあり避けたほうが良いです。
  • ケミカルピーリング:サリチル酸マクロゴールなどを用います。当院では自由診療で施術可能です。(4,400円 税込 治療回数1回)施術後、かゆみやピリピリ感がでることがあります。また角質がいつもより薄くなるため肌に刺激を与えないよう注意が必要となります。

[スキンケア]
余計な皮表の皮脂を取り除き、毛孔を塞いでいる角栓、汚れを取り除く事は何よりも重要です。化粧についても油性製剤は避けて、乳液ローションタイプを用いた方が良いです。

[ニキビ跡の治療]
炎症後色素沈着や瘢痕、陥没などに対しても種々の方法がありますが、保険適用外であり、各医院で説明を受け、コストパフォーマンスを考えて選択してください。

ニキビにはいろいろな治療方法があります。一人で悩まずぜひ皮膚科へ。

 

円形脱毛症

☆円形脱毛症とは

円形脱毛症は直接生命の存続を脅かす病気ではありませんが、脱毛に悩む人々にとっては非常に深刻な問題であります。円形脱毛症が原因で、日々の生活において活動の範囲を狭めてしまう事もあります。

[症状]
円形脱毛症は幼児から高齢者まで、あらゆる年齢の人に発生し、脱毛症(毛がぬける病気)の中では比較的頻度が高いもので、ある日突然、10円玉くらいの円形に抜けてしまうものです。単発型(脱毛部位が1~2カ所)、多発型(複数カ所)、多発融合型、全頭型(頭部全体が脱毛)、汎発型(頭以外の眉毛、睫毛なども)があります。全脱毛型は、大変長い時間がかかることも多く、根気強い治療が必要になります。

[原因]
本来なら体にとって有害な細菌やウイルスなどを追い出すはずのリンパ球が、毛母細胞(毛をつくり出す細胞)を「敵」と勘違いして攻撃してしまうため毛が抜けてしまうのではないかと考えられています。20%ほどの人はストレス、ほか遺伝素因、アレルギー反応など多くの因子によって起こるとされており、時に甲状腺疾患などのために発生します。
自己判断で、ストレスが原因と決めつけ、心療内科を受診したり、自然にもどることを期待するだけで病院へ行かないと、円形脱毛症がますます悪化する可能性もあります。勝手な自己診断を行わず、まずは皮膚科を受診されるのをお勧めします。

[治療法]
外用薬について:
毛が抜け続ける場合はステロイド外用(免疫反応を抑制する薬)、毛があまり抜けずに落ち着いているひとはフロジン外用(血行をよくする塗り薬)。

内服薬について:
セファランチン、グリチロンなど(免疫を調整)。

液体窒素による刺激による治療(頭皮を刺激、やや痛みを伴います)。

紫外線療法:最近は、光線療法(エキシマライト(308nm)やナローバンドUVB)がよく効くという報告が増えています。

局所免疫療法:SADBE(squaric acid dibutylester)を用いて、わざとかぶれを起こして刺激し、発毛を促します。広範囲な脱毛症の場合に行うことが多いです。

ステロイド(ケナコルト)の脱毛部への局所注射:かなり痛みがありますが、局所に注射液を入れてしまうので外用剤のみで治療するよりおすすめです。

ステロイドホルモン剤のパルス療法:短期間にステロイドホルモン剤を大量に点滴注射する方法です。入院が必要な治療となるため、大学病院などの限られた施設で行われています。

ガイドラインに従って治療し数種類の薬剤、施術を組み合わせて治療を行っております。当院ではステロイドパルス以外(入院が必要なため)の殆どの治療が可能と自負しております。

その他の注意事項

  • 洗髪で抜ける気がして、洗う回数を減らしてしまう方がおられますが、逆効果です。洗わないでいると、毛穴に汚れが残って血流が悪くなり、余計に悪くなってしまいます。特に気にせずに、洗髪をしてください。
  • ひっぱらなければ、パーマや毛染めも特に問題はありません。
  • 広範囲になれば、治療には時間がかかります。かつらを使用したりして、かつらでおしゃれを楽しむような余裕のある気持ちになることが大切です。

尋常性白斑

☆尋常性白斑とは

白斑は境界明瞭な完全脱色素斑です。木の葉状、類円形のものから不規則な地図状を示すものまで様々で、毛髪のある部分では、白髪になることが多いです。
3つのタイプ:(1)全身性、対称性に見られる汎発型、(2)単発~数個の白斑が局所に限局する限局型、(3)皮膚の神経に沿う分節型、があります。汎発型は全年齢層に初発し、徐々に広がります。分節型の多くは小児または若い成人に初発し、20~30%で自然軽快します。詳しくはこちら

  • ※PDFが開きます。
  • ※PDF閲覧にはAdobe Acrobat Readerが必要な場合があります。
  • ※Adobe Acrobat Readerはこちらからダウンロードできます。

[白斑の原因は?]
白斑はメラニン色素をつくる細胞であるメラノサイトの消失あるいはメラニン色素生成機能の停止により生じます。その発症原因はいまだ不明で、大きく2つの説がいわれています。
(1)自己免疫説
メラニン色素をつくるメラノサイトに対する自己抗体の存在が認められています。この自己抗体が自分自身のメラノサイトを破壊します(自己免疫機序)。
(2)神経説
白斑の分布が神経の支配領域に出現する事実や白斑部に一致して自律神経系の変化(発汗異常)が認められることがあります。分節型白斑では神経蛋白の分泌低下が起こるか、神経蛋白に対するメラノサイトの感受性低下が起こっているのかもしれません。

[内臓の病気と関係は?]
甲状腺疾患、悪性貧血、糖尿病、萎縮性胃炎などの合併がいわれています。なかでも甲状腺疾患の合併が比較的多いです。

[診断は?]
本症は後天性の色素脱失をきたす疾患で、臨床的特徴や経過から診断は困難ではありません。
ただし、小児の顔によく見られるはたけ、加齢に伴って生じる老人性白斑、癜風菌の感染による色素脱失、高血圧の薬による白斑黒皮症、先天性の限局性白皮症や脱色素性母斑など色素脱失はいろいろな原因で生じてきます。したがって、これらの疾患を鑑別することが重要です。

[生活上、気をつけることは?]
日光暴露は周囲の正常皮膚を日焼けさせ、白斑とのコントラストが強くなり、白斑がかえって目立つようになります。強い日光暴露は禁物です。外出時には、白斑部を含めて日焼け止めクリーム(サンスクリーン)をぬるようにしましょう。また、食事に制限はありません。

[尋常性白斑の治療]

  1. ステロイド外用
    一般的に広く使われている治療法です。特に進行中の病初期には作用がみられることが多いが、陳旧化すると反応しにくい。
  2. 紫外線療法
    紫外線療法は以前よりよく用いられてきた治療法である。近年では治療作用や副作用などの観点から、エキシマライト(308nm)やナローバンドUVB(311±2nm)が主流となりつつあります。
    紫外線療法の重要な問題点は発がんリスクの上昇であり、Njooらは12歳以下の小児におけるナローバンドUVB療法は1年までを限度としているが、小児の汎発性白斑に対するナローバンドUVB治療は患者さんにおすすめの治療法であり、QOLを大きく改善するであろうと述べてます。
  3. ビタミンD3
    併用が有効であるという報告が多くみられるようになった。ステロイド外用と併用、もしくはステロイドに反応しなかった症例に対してビタミンD3製剤を意欲的に使用している。主な副作用としては外用時の刺激感や発赤などがあるが、ステロイド外用と比較すると副作用は少なく、意欲的に試みてよい治療法と考えてます。
  4. タクロリムス軟膏外用
    タクロリムスはメラノサイトとメラノブラストの両方を活性化し、メラノサイトの増殖と遊走を促進する。また、Tリンパ球を抑制して、細胞性免疫能を減弱させることで作用を発揮すると考えられる。小児においては基本的には紫外線療法との併用は避けるべきです。
  5. サクションブリスター
    人工的に水泡を作成し、ごく薄い植皮として利用します。局所麻酔、外来手術で施行可能です。

すぐに作用のある薬がある訳ではありませんので、数種類の薬剤、施術を組み合わせて治療を行っております。上記の治療は全て当院で可能であります。

更に・・・

  1. かくすメイク法
    白斑の部分に人工的に着色を施す対処法です。根本的治療法ではありませんが、社会生活上のストレスを減らすのに有効な手段です。


「パーフェクトカバー ファンデーション MV」

パーフェクトカバーは、白斑、青あざ(太田母斑など)、赤いあざ(血管腫など)、などを対象とした資生堂が開発した部分用ファンデーションです。これまでのファンデーションやコンシーラーでは厚塗りになったり不自然な仕上がりになることがありましたが、このパーフェクトカバーはメラニンに似た色を加えることで自然な仕上がりになります。男性や子供でも使用することができます。あざの上に塗布することにより、自然な肌色を再現でき目立たなくする作用が期待できます。※説明には予約が必要です。

「パーフェクトカバー ファンデーション MV」の概要
○価格 1色3,300円(税込)
○商品特長

  • メラニンの色調を補い、肌色を均一に調整するリキッド状ファンデーション
  • 資生堂が長年の化粧品研究の中で育んできた「光フィルター技術」を応用
  • 塗り重ねの調整でさまざまな肌色に対応可能
  • 汗・水・皮脂に強く衣服などがこすれても落ちにくい
  • 専用ブラシ付
  • SPF18・PA+

尋常性疣贅(イボ)

☆尋常性疣贅とは?

一般に、イボと呼ばれているものにも何種類かあります。主なイボは尋常性疣贅というイボで、足、手、四肢、顔などの露出部にできることが多く、小児も大人もできます。
イボは、ヒト乳頭腫ウイルスと言うウイルスの一種が皮膚に感染してできます。このウイルスには多くの種類があって、普通のイボ以外にも、性感染症(性病)である尖圭コンジローマの、他のある種のものが子宮がんの原因ウイルスとして注目されています。呼び名が違うだけで同じウイルスを指しています。
イボのウイルスも正常の健康な皮膚には感染できない(と考えられている)のですが、小さな傷などがあると皮膚に入り込んで、表皮の最下層(基底細胞と呼ばれます)に感染してイボをつくると考えられています。感染を受けた基底細胞は細胞分裂が活発になり、まわりの正常細胞を押しのけて増え続けます。イボができるためには小さな傷を通してウイルス(HPV)が皮膚や粘膜に入り込み基底細胞に到達する必要があります。外傷を受けることの多い手足や外陰部に、あるいはアトピー性皮膚炎の子供たちの特に引っ掻くことの多い肘・膝窩にイボができやすいのはこのためです。
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)にはウイルスを構成するDNAの違いにより多くの異なる型(遺伝子型)があることが分かっており、すでに100類以上が確認されていて、まだまだありそうです。この型の違いによって、感染しやすい場所や、できるイボの見た目が異なってきます。
 
[HPVの型の違いによっていろいろなイボができます]

  • 尋常性疣贅(一般的に手足や顔にできるイボ)
    普通に見られるのが、子供の手足にできるイボで、尋常性疣贅です。ヒトパピローマウイルス2型・27型・57型の感染で生じます。
  • 足底疣贅(足の裏にできるイボ)
    魚の目に似ているミルメシアがあり、ヒトパピローマウイルス1型の感染で生じます。
  • 青年性扁平疣贅
    顔によくできる平らなブツブツ。年齢は青年だけとは限りませんし場所も顔以外にできることが有ります。ヒトパピローマウイルス3型・10型の感染によって生じます。
  • 尖圭コンジローマ(性器イボ)
    外陰部・肛門の周囲にできる性感染症です。ヒトパピローマウイルス6型・11型の感染によって生じます。
  • ボーエン様丘疹症
    HPV16型などを主な原因とすることが分かっています。
  • 疣贅状表皮発育異常症
    稀な常染色体劣性の遺伝性疾患で、主に露光部に発がんをみます。ヒトパピローマウイルス5型・8型の感染によって生じます。
  • HPV16型は、子宮がんの原因として注目されている型でもあります。
  • その他、ヒトパピローマウイルス65型・4型・まれに60型で生じる黒色の色素性疣贅や、ヒトパピローマウイルス63型での白色点状角化病変が足底に生じる点状疣贅などがあります。

「うつる?」
イボ(ウイルス性疣贅)は、今まで書いて来ましたようにウイルス(HPV)が感染してできる皮膚や粘膜の病気ですから、もちろん「うつる」可能性を秘めています。ただ日常生活で他人にうつす可能性は低く、あまり気にすることはないでしょう。器物を介しての感染は心配ありません。私たちの皮膚や粘膜は様々なバリア機構でウイルスや細菌などの感染から守られており、正常の皮膚や粘膜には通常感染しにくいと考えられます。しかし、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んで、感染すると考えられています。手の荒れや傷をつくりやすい職業の人は、増えやすいので注意してください。プールや浴場の床など皮膚が水分でふやけているときなどうつりやすいです。患部をたこや魚の目と間違えて削ったり、不必要にいじると、いよいよ大きくなって来院することが多々あります。よく自分でスピール膏を貼って改善しようとしますが、スピール膏だけでは皮膚をふやかすためにかえってウイルスを周囲にばらまいてしまって、悪化の原因になることもあります。

[治療について]
いろいろな治療法が試みられていますが、皮膚科の診療で、多用されている方法は、液体窒素療法(凍結療法)というものです。液体窒素(-196℃)でウイルスに感染している細胞を凍結・融解を繰り返し、「イボウイルス」を表皮の細胞ごと破壊していくものです。作用を上げるために角層を削る必要がある場合もあります。綿棒で液体窒素をつけると、「イボ」は凍って白くなります。白くなった「イボ」は、数分で元の色に戻ります。ドライアイスを押しつけるようなものですから、処置中は冷たいという感覚を通り越して、結構痛いのです。この痛みに耐えきれず、治療を中断してしまう患者さんもいます。また、大きいものや多発している場合はなかなか作用がみられません。冷凍療法のあと数時間痛みがありますが、「しもやけ反応」ですから、これも我慢してください。1時間位前に、痛み止めを飲んでおくのも良いと思います。数日で水疱ができてきますし、水疱が黒くなることもありますが、心配ありません。一週間~二週間の間をおいて、カサブタがぽろりと落ちれば良いです。
「イボ」の芯が残っていれば、冷凍療法を繰り返します。「イボ」は再発しやすい病気なので、改善するまでには治療する必要があります。この治療を1回/週位で、通常5~10回位かかると思ってください。曲がったり擦れたりするだけで皮膚に目に見えない細かい傷がつく場所と元々角層が厚い場所(足底・頭・肘・膝・指の関節)は治療が長期化する傾向があります。治療期間は、できている場所と本人のイボに対する抵抗力(免疫力)によって異なりますが、液体窒素の作用のピークは、4日目位で、作用の持続が1週間位と言われています1週間以上では疣の勢いが盛り返します。余り間隔を空けた通院はさけできるだけ間隔を守って通院してするのがおすすめです。
液体窒素治療は、1日目はかなり痛いのですが、入浴はかまいません。ただし、血行がよくなって痛みが増すことがあります。感染性は少ないので通学やプールなどに制限はありません。イボを取ろうとしていじるとまわりにうつることがあります。
イボは、イボのウイルスが直接見えているのではなく身体がイボのウイルスを排除しようとしている皮膚の変化が見えているので、もしウイルスがいても身体が排除しようとしないと正常の皮膚に見えます。ですから治療を開始すると初期に新しく増えたように見えることがありますが、身体の抵抗力が高まり、今まで普通に見えていた皮膚に実はイボウイルスがいてウイルスの排除反応が始めたのかもしれません。慌てないでください。

[ジェットスプレー式液体窒素療法]
当院は、イボ治療の方が非常に多いのですが、やはり、足の裏や手のひらのイボは、液体窒素での治療もなかなか頑固で、相当の治療期間を有し苦労します。そこで新しい冷凍療法として、「クライオプロ」を用いた「ジェットスプレー式」液体窒素療法を導入しました。こちらは、通常綿棒での液体窒素での治療「綿球法」よりも液体窒素をスプレーで圧力をかけて噴霧するため、浸透を向上してくれ、強力かつピンポイントで治療できます。治療作用も高まり、また綿棒に比べて痛みは少ないです。まず液体窒素での治療を開始し、なかなか改善がなければ他の治療法を選択するというのが一般的です。
液体窒素を行っても難治性のものや最初から数が多い場合は、局所麻酔下に電気メスや炭酸ガスレーザーで切除焼灼する治療を行っています。通常、綿棒で治療するより強力ですが、やはり複数回の治療が必要です。治療後は皮膚がない状態になるので治療後ガーゼで覆う必要があり、イボの大きさにもよりますが傷が改善するのに2週間から1カ月間必要になりその間少し不自由になります。ほか、疣ウイルスに対する抵抗力を高める目的でヨクイニンを投与します。あと尿素軟膏、ビタミンDの外用剤を併用したりします。いずれも保険診療になります。自分で「はと麦茶」を沢山呑むのもある程度の作用は期待できます。

尋常性疣贅の治療として、皮膚科の教科書には10数種類もの治療法が記載されています。逆にいえば、これでという治療がないのです。イボの大きさ、個数、年齢などを考慮し、どの治療法を選び、組み合わすか、十分に説明を行い、患者さんの同意で選択します。どの治療でも1回で改善することはほとんどなく、何度か治療が必要になります。治療が数カ月に及ぶこともあります。残念ながら、治療期間を予測できません。

結節性痒疹や多発型円形脱毛症の治療にも通常に治療として使用しています。その他の疾患にも使用していくと汎用性のある治療法だと思っています。

胼胝(べんち)(俗称:タコ)と鶏眼(けいがん)(俗称:ウオノメ)

足底に硬いものができた時に、まず考えるのは、タコ、イボ、ウオノメです。何科を受診してよいかわからない?
→ 皮膚科でみます。このうち、イボはウイルスによるものですから、単に表面を削っただけでは改善しません。子供でうおのめやたこが疑われる場合の多くは、ウイルス性の疣(いぼ)ですので、自己判断で治療をせずに皮膚科を受診してください。 

1)どうしてできる?:
人間の脚はまっすぐではなく、幾分O脚やX脚気味です。まっすぐであれば足裏にかかる荷重は均一ですが、姿勢の悪い歩き方をしたり、足に合わない靴を長時間履いていると、足の特定の場所に刺激や圧迫が常に加わります。この圧力刺激から皮膚を保護するために皮膚表面の限局性の角質増殖が起こります。これがタコ(胼胝)・ウオノメ(鶏眼)です。

2)タコ(胼胝):
刺激を受けた部位全体の皮膚が少し黄色味を帯びて厚く硬くなって盛り上がっているものをタコ(胼胝)といいます。外方に向かう比較的大きな角質肥厚がほぼ均一であることが特徴です。第1または第5中足骨骨頭に一致する足底に好発し、皮膚紋理は保たれ、核はみられません。痛みの無いことが多く、むしろ厚くなった角質のために感覚が鈍くなっていることもあります。靴の中にものが入ったような違和感を感じることがあります。習慣や職業により出現部位が異なります。多くは体重のかかる足底に生じますが、筆記具による「ペンだこ」や正座による「座りだこ」などもあります。

3)ウオノメ(鶏眼):
何らかの理由で、圧迫摩擦などの刺激が一定部位に繰り返し加わると、平らで半透明の中心部(核)を持った周りとの境界がはっきりした角質肥厚(硬い)が生じ、皮膚の内側に釘のように凸に食い込んで魚の目のように見えるものをウオノメ(鶏眼)といい、通常大人の足底や足趾(ゆび)などにでき、直径5~7mm大です。クサビ型角質肥厚の頂点は真皮内に向かい、(神経を圧迫するので)ナイフで刺されたような疼痛(上から押さえたときの痛み)が特徴です。

歳をとると足底の脂肪が減ります。足底の脂肪は地面からの衝撃を緩和するクッションあるいはソールの役目をしているので、これが減ると皮膚に過重な荷重がかかり、やはりウオノメ・タコをつくってしまいます。
 
4)治療:
原因となる圧力刺激を避け、厚くなった角質を削り取る処置を行います。当院での治療法を紹介します。
・事前に病変部の大きさに合わせて切ったスピール膏を3日貼付(丈夫なテープでしっかり固定、そのまま入浴可)。
・その後、来院していただきますと、貼った部分の皮膚がふやけて柔らかく切りやすくなっているので、カンナ型のカッター、メスやハサミ、皮膚グラインダーを用いて切削します。
・再発予防に角質溶解剤を外用していただきます。幅のある大きめの靴をはいてもらい厚手の靴下を使用するようアドバイスします。

鶏眼・胼胝は治療により簡単に削り取ることにより生活に支障のない程度にはできます。
しかし、不適合な靴、長時間の歩行、扁平足、開帳足、凹足などの足変形、股関節異常、膝関節異常、脳血管障害による歩行障害など、骨変形などの様な圧迫因子を見つけて、可能な限り除去しないと早いものでは2週間程で再発します。しかし、現実的には原因がわかっても改善は難しく、その場合は角質軟化剤や保湿剤などを用いたスキンケアやパッドなどを用いて、なるべく局所の刺激を少なくするような工夫も必要です。特に糖尿病の患者さんでは、自覚症状がないままにうおのめが悪化し感染症を起こすことがあるので、注意です。また皮下腫瘍(粉瘤など)の影響で表面皮膚にタコができている事があり、この場合は腫瘍の治療で改善します。

しもやけ(凍瘡)

☆しもやけ(凍瘡)とは

「しもやけ(凍瘡)」は、10℃以下の寒冷刺激による血行障害が原因で起こる冬の皮膚病の代表的なものです。初冬から初春にかけて手の指や足の趾、耳介などからだの末梢部が、痛痒く、ぱんぱんに赤く腫れた状態になります。痒みは入浴時や寝床に入って身体があたたまって血液の循環がよくなると強くなる傾向があります。ひどくなると皮膚の壊死(えし)が起きたり、皮膚がむけたり、化膿することもあるような恐ろしい病気でもあります。
大人よりも外で遊ぶことの多い幼稚園児、小学生など学童に多く見られる皮膚病で、男の子より女の子のほうがかかりやすい傾向があるようです。

[しもやけのタイプ]
しもやけには二つのタイプがあります。麻の実の大きさからアーモンド位の大きさまでの、周りが鮮やかに赤くもりあがって、真ん中がやや引っ込んだ紅斑ができ、少しずつ広がってゆくタイプをM型(多形滲出性紅斑型)、手や足の指全体が赤紫にぱんぱんに脹れて暗紫色を呈す樽柿に似ているタイプはT型(樽柿型)といいます。足の方も同様で、耳たぶなんかもなりやすいです。樽柿型は幼い子供によく見られ、多形滲出性紅斑型は大人に多いとされております。

しもやけ(凍瘡)になりやすい「体質」を持つ人が低温時、皮膚の血行障害をきたしておこる皮膚病で、末梢での血液の流れをうまく調整できないと考えられます。季節的には冬季の始まりと終わりに発症しやすく、気温が4~5℃で、最高気温と最低気温の差が10℃ぐらいの場合に注意です。寒冷刺激によって皮膚の血管は一時的に収縮しますが、動脈は静脈よりも早く元に戻ろうとするため「うっ血」を起こし、組織内に滲出液や炎症起因物質が漏れてしまい、むくみが起こるのではないかと考えられています。特に子供では毛細血管の働きが未熟なため、耳、頬、鼻、指、手先、足先、などの寒冷刺激に暴露される末端部分によく見られます。

[当院の治療法:治療は、血行をよくする外用薬、内服薬が使われます]

  1. 軽い場合、もしくは子供は血行を促進するビタミンE、ヘパリン類似物質の外用薬を処方。
  2. これで解決しない場合には血行を良くするビタミンEや、末梢血管拡張薬(エパデール錠、ドルナー錠、プロサイリン錠、ズファジラン錠)、漢方薬(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)をのんでいただくほかに、局所的にも血行改善をはかり、ビタミンEや、ヘパリン類似物質+副腎皮質ホルモン剤を外用させます。また、補助的に近赤外線照射(スーパーライザー)を行います。
  3. さらに重症の場合、ステロイド内服も作用があります。皮膚壊死の時は抗生物質軟膏などを使い二次感染をなおしつつ潰瘍治療剤を外用させます。

[生活上の注意]
しっかりと防寒、保温することが大切です。素手や裸足で遊んだり、手を冷たい水にさらさないにしましょう。外出時は少し大きめの寒気を通過させない厚手の手袋や靴下を、また耳あて、マスクを着用しましよう。体は羽毛のはいったジャケットで暖かくしていながら、足元は夏と同じズック靴を履いているので、足がすっかり冷えて足だけにしもやけができてくるお子さんもあります。
手足の湿度が高い場合や、濡れたまま放っておくと、皮膚が気化熱によって表面温度が下がり、しもやけになりやすくなります。手を濡らしたら、乾いた布でよく拭きましょう。靴や靴下をはいていても、汗などで濡れたままだとかえって体温が奪われ、しもやけができやすくなります。余分な水分は拭きとって乾かしましょう。先が細くなっている靴や高いヒールの靴を履いていると、それだけで足の先が圧迫され、血行不良になり、しもやけの原因になりますので注意です。
寒冷刺激を受けたあとには手足をマッサージしたり暖房機器で暖めましょう。毎日5分前後、一日二回くらいマッサージして血の巡りをよくしておくことが大切です。

[しもやけと似ているほかの病気]
寒くなると指先が白くなって紫紅色そして赤くなるといった一過性の状態をさす「レイノー現象」という言葉があります。しばしば「しもやけ」だと見逃されている症状ですので気をつけなくてはいけません。膠原病の全身性エリトマトーデスや、凍瘡状狼瘡の可能性もあるため、成人期以降にもしもやけが続いたり、暖かい時期になってもしもやけが改善されない場合、何か大きな病気が隠れている場合もありますので、精密検査が必要です。