宮崎市中村東のきくち皮膚科泌尿器科クリニック|アトピー、陥入爪の矯正、前立腺肥大症、過活動膀胱、ED、AGAに対応

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皮膚病あれこれ2|宮崎市中村東のきくち皮膚科泌尿器科クリニック|アトピー、頻尿に対応

多汗症

☆多汗症とは?

特にエクリン汗腺から必要以上に汗が分泌されるのが「多汗症」。温度や湿度に関係なく、また運動や食事などの汗を出るようなことをしていないにも関わらず手掌、ワキ、足底などに異常に多くの汗をかく疾患です。原因は、汗の分泌をコントロールしている交感神経の乱れと考えられており、体質、精神的なストレス、食生活、ホルモンバランスなど、様々な要因が絡みあって、交感神経が正常に働かなくなることで起こります。

ワキの下には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2つの汗腺と、「皮脂腺」があります。これらから分泌される汗や油分が混ざり合い、雑菌によって分解されると、独特なニオイを放ち始めます。汗が大量に出ることによって、ニオイも強くなる傾向があります。

[原発性腋窩多汗症の有病率と受診経験率]

日本人の10人に1人は多汗症であり、そのうち約60%が原発性腋窩多汗症です。
原発性腋窩多汗症患者の受診経験率は4.4%と低いのが現状です。

原発性腋窩多汗症の疫学に関するインターネット調査
対象:現在、脇に多汗症状ありの方に該当する15-69歳の男女3,576名(スクリーニング調査60,969名)
方法:インターネット調査
調査期間:2020年12月
調査主体:マルホ株式会社

[多汗症の検査]

甲状腺機能亢進症や糖尿病、悪性リンパ腫などや薬剤が原因の続発性多汗症を鑑別します。

[多汗症の治療]

1.薬物療法

・抗コリン剤
アセチルコリンの放出を抑えれば汗が減少し、多汗症の症状が緩和されます。口渇、便秘、排尿障害などの副作用が現れることがあります。

・抗不安薬
抗不安薬(マイナートランキライザー)が不安や緊張を和らげ、緊張に伴う多汗症症状を緩和します。

・抗うつ剤
緊張や汗への予期不安から汗が増えるタイプの方は、SSRIという抗鬱剤を長期的に内服すると、緊張や不安を感じにくくなり、日常生活が楽になります。

2.外用薬

・20%塩化アルミニウムを皮膚に塗布すると、発汗が減る事が知られています。皮膚に問題のない方は、まず試みる外用剤です。作用には個人差があり、濃度を調整します。汗の止まらない場合もあります。自家調剤薬です。

☆アルミニウム液について

◎塩化アルミニウムは多汗症の外用薬です。
塩化アルミニウム液は、汗腺を変性させて汗を抑ええる薬です。保険診療の適用はなく、アルミニウム濃度の違いで市販品も販売されております。(500円 税抜)


◎塩化アルミニウム液には副作用について。
外用液による刺激皮膚炎がまれに起こります。肌に合わない方は残念ながら使用継続は困難ですので中止してください。濃度が高く刺激が起こる方は水道水で半分に薄めた上で外用していただく事も可能です。

◎塩化アルミニウム液は、継続が大切です。
(1)できるだけ汗の出ていない状態で皮膚に塗布します。その後も1時間程度は汗をかいていない状態を保つようにします。よいのは就寝前の使用です。
(2)一回に使用する量は腋窩では軽く刷り込む感じで。手掌、足底では、皮膚が厚いのでベタつく程度の量を十分に。手掌に使用した場合は、翌朝洗い流します。
(3)通常は1~2週間で作用が現れます。3週間以上たっても作用が現れない場合は、濃度を変えるか、他の方法を試みます。
(4)いったん作用が現れると、暫く効き目が持続します。だいたい1週間~10日間です。この間隔は人によって違います。
(5)かゆみ・かぶれ・毒性を考慮して、使用量・使用頻度は少なくします。
(6)ここ最近の研究では、継続して外用していると汗腺そのものを萎縮させ、汗の産生を抑えることが分かってきました。根気強く長期間にわたって治療を行うことがとても大切です。詳しくはこちらへお進みください。(外部サイトへ飛びます)

◎保存は遮光が必要です。
光に当たると劣化して作用が落ちてしまいます。遮光瓶で保存してください。遮光瓶がなければアルミホイルで巻いていただけば十分です。普段は常温、暗所で保存をお勧めします。

・ホルマリン溶液(2~5%)を足裏多汗症に使用します。ホルマリンはアレルギー症状が現れることがあります。肌に異常が現れた場合はすぐに中止してください。自家調剤薬です。

・D-barはわきがなどの臭いにおすすめの制汗剤です。自由診療となります。

3.イオン導入(イオントフォレーシス)

水道水やホルマリン溶液を手掌や足底に電気を流してイオン導入する方法です。時間がかかり、週に1~3度程度、定期的に繰り返さなければ作用がなくなる欠点があります。

汗の多い手のひら、足のうらを水道水の入った容器の中に浸し、10~20mAの直流電流を流す方法です。1回30分の通電を8~12回行うと汗の量が減ってきます。保険診療が可能ですが、治療効果を維持するためにはその後も1週間に1~2回定期的に繰り返さなければなりません。通院困難な方には米国製の家庭用(ドライオニック)がインターネットで購入できますが決して安価ではないので、当院ではデモ機を用意しており試していただいております。

上記の出典は日本皮膚科学会HP:汗の病気―多汗症と無汗症― Q10 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)(dermatol.or.jp)からです。

4.ボツリヌス毒素注射法

汗の分泌を支配する神経をボトックスで遮断して汗腺の働きを抑えます。多汗症ボトックス治療は今後の多汗症治療の主流になると考えられます。多汗症ボトックス治療治療は短時間で終わり、通常の生活には影響なく、傷跡もほとんど残りません。作用は半年程度続きます(個人差があります)。健康保険が適用される場合、3割負担で25,000円となります。

5.手術:当院では行っておりません

・手掌や脇の多汗症は、腹腔鏡を使って胸部交感神経節の一部を破壊して神経を遮断する交感神経節ブロック術(交感神経遮断術)を行います。足の裏の汗を止めるためには腰椎の交感神経ブロック術を行います。重症多汗症の方には有効な治療法ですが、副作用として治療部位の多汗症が改善しても、他の部位に汗が増えてしまう代償性発汗がほぼ全例で起こります。

・剪除法は、ワキ下の皮膚を3~4cm切開し、肉眼で判断できるアポクリン汗腺を除去する手術法です。

古くて新しい梅毒の話

江戸時代に流行った川柳に、

「親の目を 盗んだ息子 鼻が落ち」とあります。

これは梅毒3期のゴム種が落ちた状況を表したものと思われます。梅毒の歴史と急速に社会問題化しているその拡大について述べます。

梅毒(Syphilis)の起源について定説はありませんが、コロンブスがジャガイモやトマトとともに新大陸から持ち帰り大流行した、という説があります。
1492年、コロンブスは90名の乗組員と共にスペインからインドを目指して出航しバハマに到着、カリブ海諸島で多くの乗組員が現地女性と性交渉をもち梅毒をスペインに持ち帰ったとされています。更に彼は1493年、今度は1,500人の乗組員を連れて2回目の航海に出発、ここでも多くの船員が梅毒に感染したと考えられます。またアントニオ・デ・トレスが1494年に26人、1495年に300人の男女をアメリカからスペインに持ち帰っています。最近の骨形態考古学の発展で新大陸の人骨には以前から梅毒にかかった後があるが、コロンブス以前の旧世界(ヨーロッパやアジア)の骨には、その形跡は全くないことがわかり、コロンブス説が有力になってきています。
その後1493年、まずバルセロナ全市で梅毒が流行。1495年のフランスーイタリア戦争でスペイン人傭兵からイタリア人に感染。ナポリで大流行、さらにフランス軍に感染し、瞬く間に全ヨーロッパに広がりました。このため当初はナポリ病、フランス病などと呼ばれていた様です。ヨーロッパ全域に広がったあと、大航海時代の波に乗り、1498年のバスコ=ダ=ガマのインド航路発見によって、マレー半島経由で、16世紀の初めには中国の広東で流行しています。
日本で梅毒が初めて記録されたのは、1512年(鉄砲伝来の約30年前)のことで、京都での大流行が歌人・三条西実隆の『再昌草』に「唐瘡」として記されています。わずか20年足らずで地球を半周した計算になります。港々に女ありとはいえ、船乗りたちは色んなものを運んだようです。
江戸時代の医師、杉田玄白は50年間の診療経験から回想録『形影夜話』(1802年)に《已に痘瘡・黴毒、古書になくして後世盛に行はるる事あるの類なり》「昔の医学書に天然痘や梅毒は記載がないのに今はずいぶん増えた」「毎年1,000人あまり治療するうち、実に700〜800人が梅毒である」と記載しております。更に幕府医学所頭取の松本良順が書いた『養生法』(1864)には、《下賎の人間100人のうち95人は梅毒にかかっている。その原因は花街・売色に規制がないからだ》とあります。日本でも19世紀中旬にはかなりの感染者がいたと考えられます。
1905年、ドイツ人リッツ・シャウディンとエーリヒ・ホフマンによって原因菌、梅毒スピロヘータが発見され、翌年にアウグスト・フォン・ワッセルマンが補体結合反応を開発し感染の早期発見と新たな感染防止が進みます。1928年にイギリス人医師であるアレクサンダー・フレミングが世界初の抗生物質「ペニシリン」を発見してからは梅毒は治療できる病気となり患者数も激減します。

日本でも1950年の121,461例から急速に低下し、2012年までの20年間の感染者数は、年1,000人未満に留まっていました。しかし2013年から梅毒が急増中で、2012年と比べ2016年の感染者数は約5倍とすさまじく、主に若い女性の罹患が増えているといわれており、同時に先天梅毒の報告も増加しております。国立感染症研究所から2016年3月に注目すべき感染症「梅毒」として、2010年以降の先天梅毒を含む梅毒全体の増加傾向について早い段階での対応への注意喚起がなされております。
また、2017年7月14日には「性感染症に関する特定感染症予防指針に基づく対策の推進に関する研究」でも、梅毒は2011年以降急増しており、2016年は4,557例(男性3,174、女性1,383)で2000年以降最多であり、また先天梅毒の調査(n=7)では、先天梅毒児の母親は、若年妊娠、未婚、他の性感染症の既往・合併、性産業従事歴有り、妊婦健診が未受診もしくは不定期等の背景があると示唆しています。
2017年(10月6日国立感染症研究所発表)に発表された情報では、2017年第1~38週の報告数(感染者届出数)は4,086人に上り、前年同時期の報告数3,188人より約3割増えています。

日本での急速な拡大の原因について、発生経路についての遺伝子関連の論文がまだ出ていないので確定はできませんが今後も20~40歳代の男性や20歳代女性というハイリスク集団に対して梅毒増加と予防法について情報提供を行い、患者のパートナーに検査を進めるなどの対策を、各関係者が行っていくことの重要と考えます。

梅毒感染者届け出数の推移(2010年~2017年第38週 外部サイト)詳しくはこちら
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尖圭コンジローマの治療とその費用について

・尖圭コンジローマの治療(国立感染症研究所ホームページより一部抜粋)

外科的治療には、切除、CO2レーザー蒸散法、電気メスによる焼灼法や液体窒素による凍結法がある。CO2レーザー蒸散法は、治療による周辺組織の損傷が少ないこと、治療作用が素早く得られることから優れている。薬物療法としてはイミキモド5%クリーム(ベセルナ)などを塗布する方法がある。
通常、ヒトパピローマウイルスの感染から尖形コンジロームの発症には数週間から3カ月程度かかるといわれているので、治療終了後も最低3カ月は厳重な経過観察をして、再発の早期発見に努めることが必要である。本人が改善しても、パートナーがHPVを保持しているかぎり再感染の可能性があるので、パートナーも必ず医療機関を受診し、症状があれば治療をすることが重要である。また、垂直感染を予防するために、妊婦で発症した場合には分娩までに治療を終了するべきである。

・ベセルナの使用方法

・当院での尖圭コンジローマの治療方針

CO2レーザー蒸散法では肌質によっては瘢痕、ケロイドを生じて勃起時にヒキツレや疼痛を生じる可能性があるため、まずはベセルナ外用より開始します。

①外用剤での刺激/かぶれに注意しつつ1週間外用を行います。

②問題なく使用できれば2週間、更に3週間と継続。4~6週間の使用でコンジローマの軽快が認められればそのまま継続。

③軽快がなければ外科的な方法へ移行します。

④そのままベセルナ外用の希望であれば4週間おきの再診で16週まで継続可能です。

外科的な方法でも外用でも再発率が高い疾患です。継続した観察が必要となります。免疫力向上のためにヨクイニン内服を処方する場合があります。以上をご理解の上、治療を開始しております。


・発生する医療費(保険適用のため税金は頂きません。)

A:ベセルナ5%クリーム(持田製薬)を4週間使用の場合

ベセルナ5%クリームの薬価が1,163.7円/包であり、仮に12回/4週間の使用であれば約13,964円(3割負担の方で約4,189円)。

B:コンジローマ焼灼術を1回施行の場合

コンジローマ焼灼術の点数は1130点(3割負担の方で約3,390円)。

各々、他に初診料+処方料で350点(3割負担の方で1,050円)や再診料、処方料で193点(3割負担の方で580円)の負担となります。